kanibiimu - 逆襲のタコ。(桃色スケッチ)
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平素は格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。
夏のビーチには、
虚無があった。
夏の連休、広がる青い空、白い雲。
何かしなければもったいないという焦燥感に駆り立てたれ。
気が付けば海水浴場にいた。
一人で。
まわりは友達連れか家族連れ、そしていちゃつくカップルたち。
一人でいるほうが逆に目立つ気がして、端のほうの木陰で体育座りで膝を抱えた。
せっかくの連休に何をしているんだろう・・・。
存分に虚無を味わっている時、目の前に少女が現れた。
「たこ焼き~、たこ焼きはいかが? 今なら1個5万円で~す!」
たこ焼き売りの少女だった。
あっ、この連休中初めて他人から話しかけられた。
「新鮮なタコを使ってるのでおいしいですよ~♪」
新鮮さなんてどうでもよかった。
浜辺の片隅で路傍の石と化していた自分に声を掛けてくれた、それだけで値千金だった。
1個くださいと満面の笑みで答え、バッグから財布を探していると・・・
かごからタコたちが脱走していた。
どうやら生命の危機を感じ取り、火事場の底力を発揮したようだ。
「やぁ~ん、逃げちゃだめだよぉ~!!」
慌てる少女にタコたちが絡みつく。
ぬるぬる、にゅるにゅる。
少女の体をはい回り、タコたちが好き勝手に暴れている。
隠れられる場所を探しているのか?
少女の水着を引っ張ったりずらしたりして、潜り込もうとしているようだ。
「やぁん、だめだよぉ~! やめてって・・・やめろばか!!! ちょっとあんた、ぼーっと見てないでさっさと」
助けたほうがいい!?
「お金出しなさいよ!!!」
そっちか。
急いで財布から栄一さんを5枚出そうとするが、4枚しかなかった。
1000円札と5000円札も合わせれば5万に届くか・・・?
もたもたとお札をかき集めていると――
顔を赤らめ、体を震わせながら、少女が切羽詰まった声を絞り出す。
「だめっ・・・お願い・・・早く出してぇっ・・・!」
あった!!! ちょうど5万円分あった!!!!!
急いで少女にお金を手渡すと――
「おっそい!!!!!」
お札をむしり取り、タコたちをぼこぼこに殴り始めた。
タコ殴りだ。
気絶したタコをかごにぶち込むと、ずらされた水着を直して少女は去っていった。
一人ぽつんと取り残されたまま、たこ焼きを1つ口に運ぶ。
慣れ親しんだ、業務用スーパーの冷凍たこ焼きの味だった。
しかし脳裏に焼き付けた少女の姿を思い出しながら食べるたこ焼きは・・・
世界一美味かった。
それではまたお会いできる日までごきげんよう。
平素は格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。
夏のビーチには、
虚無があった。
夏の連休、広がる青い空、白い雲。
何かしなければもったいないという焦燥感に駆り立てたれ。
気が付けば海水浴場にいた。
一人で。
まわりは友達連れか家族連れ、そしていちゃつくカップルたち。
一人でいるほうが逆に目立つ気がして、端のほうの木陰で体育座りで膝を抱えた。
せっかくの連休に何をしているんだろう・・・。
存分に虚無を味わっている時、目の前に少女が現れた。
「たこ焼き~、たこ焼きはいかが? 今なら1個5万円で~す!」
たこ焼き売りの少女だった。
あっ、この連休中初めて他人から話しかけられた。
「新鮮なタコを使ってるのでおいしいですよ~♪」
新鮮さなんてどうでもよかった。
浜辺の片隅で路傍の石と化していた自分に声を掛けてくれた、それだけで値千金だった。
1個くださいと満面の笑みで答え、バッグから財布を探していると・・・
かごからタコたちが脱走していた。
どうやら生命の危機を感じ取り、火事場の底力を発揮したようだ。
「やぁ~ん、逃げちゃだめだよぉ~!!」
慌てる少女にタコたちが絡みつく。
ぬるぬる、にゅるにゅる。
少女の体をはい回り、タコたちが好き勝手に暴れている。
隠れられる場所を探しているのか?
少女の水着を引っ張ったりずらしたりして、潜り込もうとしているようだ。
「やぁん、だめだよぉ~! やめてって・・・やめろばか!!! ちょっとあんた、ぼーっと見てないでさっさと」
助けたほうがいい!?
「お金出しなさいよ!!!」
そっちか。
急いで財布から栄一さんを5枚出そうとするが、4枚しかなかった。
1000円札と5000円札も合わせれば5万に届くか・・・?
もたもたとお札をかき集めていると――
顔を赤らめ、体を震わせながら、少女が切羽詰まった声を絞り出す。
「だめっ・・・お願い・・・早く出してぇっ・・・!」
あった!!! ちょうど5万円分あった!!!!!
急いで少女にお金を手渡すと――
「おっそい!!!!!」
お札をむしり取り、タコたちをぼこぼこに殴り始めた。
タコ殴りだ。
気絶したタコをかごにぶち込むと、ずらされた水着を直して少女は去っていった。
一人ぽつんと取り残されたまま、たこ焼きを1つ口に運ぶ。
慣れ親しんだ、業務用スーパーの冷凍たこ焼きの味だった。
しかし脳裏に焼き付けた少女の姿を思い出しながら食べるたこ焼きは・・・
世界一美味かった。
それではまたお会いできる日までごきげんよう。
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